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2013年12月18日 (水)

幸福の科学を考える (大川氏の憲法試案をみる) 3

以下は、幸福の科学総裁・大川隆法氏の憲法試案である。

新・日本国憲法

幸福実現党創立者
大川隆法試案

前文
われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する。
第一条
国民は、和を以もって尊しとなし、争うことなきを旨むねとせよ。また、世界平和実現のため、積極的にその建設に努力せよ。
第二条
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。
第三条
行政は、国民投票による大統領制により執行される。大統領の選出法及び任期は、法律によってこれを定める。
第四条
大統領は国家の元首であり、国家防衛の最高責任者でもある。大統領は大臣を任免できる。
第五条
国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。また、国内の治安は警察がこれにあたる。
第六条
大統領令以外の法律は、国民によって選ばれた国会議員によって構成される国会が制定する。国会の定員及び任期、構成は、法律に委ねられる。
第七条
大統領令と国会による法律が矛盾した場合は、最高裁長官がこれを仲介する。二週間以内に結論が出ない場合は、大統領令が優先する。
第八条
裁判所は三審制により成立するが、最高裁長官は、法律の専門知識を有する者の中から、徳望のある者を国民が選出する。
第九条
公務員は能力に応じて登用し、実績に応じてその報酬を定める。公務員は、国家を支える使命を有し、国民への奉仕をその旨とする。
第十条
国民には機会の平等と、法律に反しない範囲でのあらゆる自由を保障する。
第十一条
国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障しなくてはならない。
第十二条
マスコミはその権力を濫用してはならず、常に良心と国民に対して、責任を負う。
第十三条
地方自治は尊重するが、国家への責務を忘れてはならない。
第十四条
天皇制その他の文化的伝統は尊重する。しかし、その権能、及び内容は、行政、立法、司法の三権の独立をそこなわない範囲で、法律でこれを定める。
第十五条
本憲法により、旧憲法を廃止する。本憲法は大統領の同意のもと、国会の総議員の過半数以上の提案を経て、国民投票で改正される。
第十六条
本憲法に規定なきことは、大統領令もしくは、国会による法律により定められる。

(以上、引用了)

では一つずつ見てみましょう。

前文
われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する。

これは特定の宗教の教義を憲法にしているだけで、無神論や、神しか存在しないとする教義などを排除・無視している。「第二条」で信教の自由を保障しておきながら、一方で、前文では特定の宗教の教義を憲法で規定してしまっている。

第五条
国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。また、国内の治安は警察がこれにあたる。

それでは国家の主権が侵犯されたときは「防衛軍」は出動しないのか、それについての記述がない。例えば日本の無人島が他国に侵犯されたときは、誰がその主権を護るのかがない。また、「国民の生命・安全・財産を護るため」とするが、何から護るのかも記述がない。

第四条
大統領は国家の元首であり、国家防衛の最高責任者でもある。大統領は大臣を任免できる。
第六条
大統領令以外の法律は、国民によって選ばれた国会議員によって構成される国会が制定する。国会の定員及び任期、構成は、法律に委ねられる。
第七条
大統領令と国会による法律が矛盾した場合は、最高裁長官がこれを仲介する。二週間以内に結論が出ない場合は、大統領令が優先する。

これらの条項を読むと、大統領に絶対的な権限が与えられて、国会は大統領の補完機関でしかない。大統領の監視機関がない。もし大統領が不正をしたり、国家国民に損害を与えたり、国家権力を濫用したりしたときに誰がどのように監視・審判・訴追・罷免するのかの規定がない。大統領が最高裁判所長官による仲裁に応じなければ大統領令が優先されるだけならば、これでは独裁体制ではないか。

第八条
裁判所は三審制により成立するが、最高裁長官は、法律の専門知識を有する者の中から、徳望のある者を国民が選出する。

第七条も同じであるが、法を作成する際に、「最高裁判所」を「最高裁」と略称で書くなど有り得ない。また、最高裁判所の地位・権能について規定しなければならないはずだ。そして、「裁判所は三審制により成立」という文言もおかしい。「裁判所」ではなく「裁判」としなくてはならない。そして、「最高裁長官」を国民が選出するとするが、その選出方法について何ら規定されていないのはあり得ない。

第十条
国民には機会の平等と、法律に反しない範囲でのあらゆる自由を保障する。

ここでいう法律とは何かが不明である。国会が制定したのが他の条項を読むと法律とも読める。となると、大統領令に反しても、法律に反しない範囲であらゆる自由が保障されるとも読める。また、国民に保障するのは「機会の平等」だけしかないということだ。そして、「機会」とは何の機会かが分かる記述がない。

第十一条
国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障しなくてはならない。

なぜ、第十条で「あらゆる自由」と規定しておきながら、この第十一条や第二条では個別の自由の保障について明記するのか。同じ内容が重複している。また、国家が小さな政府を目指すとなると社会保障(福祉)については何の言及がない。この試案では生存権など国民の生存・生活・福祉が国家によって保障・保護されていない。

第十二条
マスコミはその権力を濫用してはならず、常に良心と国民に対して、責任を負う。

「マスコミ」は略称であって、このような条文に記す言葉ではない。また、マスコミの権力とは一体何か、その言及がない。かつて法務大臣を務めた秦野章氏の「第四の権力」として、立法・司法・行政の三権のほかに、マスコミが第四の権力機構になったと著書に書いたが、それを意識したものか。そして、良心に責任を負うとは何を意味するのか分からない。誰の良心にどのような責任を負うのか。

第十三条
地方自治は尊重するが、国家への責務を忘れてはならない。

「国家への責務」とは何か、それが規定されていない。また、法律用語で考えると、「忘れてはいけない」という文言があるのか。「誰が」忘れていけないのか。首長なのか、住民なのかも不明。また、「忘れて」いなければ責務を「果たさなくて」もそれでよいのか。

第十四条
天皇制その他の文化的伝統は尊重する。しかし、その権能、及び内容は、行政、立法、司法の三権の独立をそこなわない範囲で、法律でこれを定める。

天皇制の機能や内容についての規定は、三権分立が損なわないことが条件になるものか。規定とその条件とがかみ合っていないのではないか。

第十五条
本憲法により、旧憲法を廃止する。本憲法は大統領の同意のもと、国会の総議員の過半数以上の提案を経て、国民投票で改正される。

「過半数以上」って、そのような言葉は存在しない。「過半数」と「半数以上」とは違う。また、国会の総議員の「過半数以上」の提案とは何を指すのか、国会の決議がなく、ただの提案だけで国民投票ができるのか。そして、国民投票での賛否の基準が明記されていないと混乱が生じるだけだ。つまり憲法改正の要件とはいえない。

第六条
大統領令以外の法律は、国民によって選ばれた国会議員によって構成される国会が制定する。国会の定員及び任期、構成は、法律に委ねられる。

第十六条

   本憲法に規定なきことは、大統領令もしくは、国会による法律により定 

   められる。

これでは国家の運営に支障をきたすのは論を待たないが、憲法と下級法との不整合が生じたとき、誰がどのように審判・改正・廃止をするのかが規定されていない。つまり違憲立法審査権、弾劾裁判など三権分立の根幹になる規定がない。

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