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2014年7月22日 (火)

ディズニー・リゾートもブラック企業か?

下記の記事は、ビジネス・ジャーナルから転載しました。

ディズニーリゾート崩壊?異常な行列、次々倒れるキャスト、大混乱の飲食店に客がクレーム

夏休みとなれば、多くの観光客(ゲスト)が押し寄せる東京ディズニーリゾート

 この東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドから今年3月31日~4月6日に解雇された従業員(キャスト)が、オリエンタルランド・ユニオン(以下、ユニオン)を結成。現在、オリエンタルランドに対し、労働環境の改善を要望している。

 しかし、オリエンタルランドは「ユニオンに加入するキャストたちは『請負業者』との間に雇用関係があるにすぎず、オリエンタルランドは『請負業者』と請負契約を結んでいる『注文主』であり、キャストたちの『使用者』ではない」と主張し、団体交渉を拒否している。6月27日に開催された株主総会でも、株主から出たユニオンに関する質問に対して「明確な回答は出なかった」(ユニオン)という。

「私たちは、自分たちの雇用問題だけではなく、キャスト全体の労働環境の改善を要求しています。これからの夏に向けてゲストがたくさんいらっしゃる時期になりますが、会社側はなんら労働環境を改善しようとしていません。このために、キャストの厳しい労働環境がさらに過酷なことになっています。キャストの心中は笑顔ではないのに、どうしてゲストの皆さんを笑顔にすることができるのでしょうか」(同)

 夏本番を前に、オリエンタルランドは大量に広告出稿を行い、マスメディアからは「夏のディズニーリゾートのおすすめツアーガイド」が宣伝されるだろう。しかし、「夢の国」では、そこかしこにブラックな労働環境が隠れているのが実態だ。

●ディズニーリゾートのブラックな実態

 今回は、ユニオンへの取材を基にした夏のディズニーリゾートにおけるあきれた実態を紹介していきたい。

 まずは、夏休み名物ともなっている、異常な待ち時間の長さという問題を見ていきたい。

 3時間待ちは当たり前のビッグサンダー・マウンテン、スプラッシュ・マウンテン、ミート・ミッキー……こうした人気アトラクションは、なぜ行列がなくならないのか。背景には、オリエンタルランドの“ゲスト入れすぎ”問題がある。

「夏休みは入場制限をほとんどしませんが、実はゲストを入れすぎなのです。それは入場料収入が欲しいからにほかなりません。営利企業だから仕方ないとしても、それならば、1つのアトラクションにゲストが集中することの弊害を見直すことが企業側には必要でしょう。5分で入れるような行列の少ないアトラクションを魅力あるものに改良するなどして、待ち時間を平準化する方策は取れるはずです」(同)

 夏休みとなれば、ファミリーで並ぶために、行列はさらに長くなる。

「以前は、行列があれば待ち時間も楽しくするためにアトモス(アトモスフィア・ショー)がありましたが、現在は『エンターテインメント・ショー製作費』が大きく削られて(2009年3月期は154億円だったが、14年3月期では55億円と、ほぼ3分の1にまで削減)、ほとんど行われなくなりました。ゲストは、ただただ待たされるのみです。例えば、本来ビッグサンダー・マウンテン周辺は、キャラクターが登場してゲストが写真を一緒に撮ることのできる『グリーティング』が行われるエリアなのですが、あまりに行列が長くなりすぎて危険だと、グリーティングを中止することもしばしばです」(同)

ただ、グリーティングの中止に関しては、キャラクターの中に入るキャストにとってはありがたい面もあるという。

「通常、キャラクターの仕事を割り当てられれば、パレードと1日数回のグリーティングをしなくてはいけません。多くの人はキャラクターの着ぐるみは猛暑対策用に改良されているとお思いでしょうが、実は、まったく改良されていません。このため、猛暑となれば、中の温度もとても高くなります。しかも、パレードとなれば炎天下で40分踊り続けることになるため、終わったとたんに、ゲストから見えないバックステージで、熱中症で倒れるキャストも出てくるのです。サイレンを鳴らさない救急車によってキャストが運ばれていくというのも、真夏ではよくあります。このため、真夏にはグリーティングの回数が減ることは、現状ではありがたいことではあるのです。

 こうした過酷な環境が常態化しているのは、出演者の世界では体育会系な土壌があって、NOと言いづらいからです。真夏の環境下で、40分踊り続けなくてはいけない環境に、精神を病んで辞めていく若手も多いのです。しかしオリエンタルランド側に訴えても、『体調管理もあなたの仕事』と冷たく切り捨てられるのです」(同)

 日本のディズニーリゾートのキャラクターのパフォーマンスレベルの高さは世界からも称賛されるが、こうした日本的な体育会系システムと希望に満ちた労働者の犠牲の上に成り立っているというのは皮肉な話だ。

●過剰なコストカットでブラック化に拍車

 そして、甘く見てはならないのは、食事時のレストランだ。レストランの大混雑も、真夏の名物になりつつある。

「実は、レストランのスタッフの人員も大きく削減されています。それにもかかわらず、ゲストの入場は拒まないように上から指導されています。つまり、中に入れる限り、どんどんゲストが入れてしまうのです。しかし、キャパシティを超えているために、サービスの提供が間に合いません。低レベルのホスピタリティ(おもてなし)にクレームを入れられるゲストもいらっしゃいますが、そもそも現場に配置される人数が少なすぎるため、どうしようもないのです」(同)

 また、セルフサービス形式のレストランでは、料理を手にできたものの、空いたテーブルが見つからず立ち尽くすファミリーも目立つ。

「かつてであれば、先に注文してからテーブルを探すよう働きかける空席案内係がいましたが、そういった係は真っ先になくなり、我先にと席に座るファミリーも出てきました。今では、満員の店内でテーブルが見つからず仕方なく立ち食いしているファミリーもいますが、立ち食いをしていると店員から注意されるのです」(同)

 現在、「ゲストにハピネスを届けよう」というキャスト新規募集の広告を電車内などで見ることができるが、特に飲食関係の職種が不人気だという。

 それもそのはず、「単純作業の繰り返しで腱鞘炎や、やけどをする人もいる」「リゾート外の飲食店のほうが働きやすい」(同)というのが実情なのだ。

 こうしたブラックな現場にもかかわらず、経営陣は、東京ディズニーリゾートは9割が準社員(パート、アルバイトなど)であることを強調し、「キャラクターはもとより、販売や清掃のスタッフも持ち場で大事な役割を果たしている」(加賀見俊夫会長)と、そのビジネスモデルを自画自賛している。

「現在の過酷な状況は、社員が圧倒的に少なく、準社員を管理できていないことからきています。オペレーションの多くが準社員任せになっているにもかかわらず、準社員からの改善要望が上に届かないようになっているのです」(ユニオン)

 現場を知らない経営陣や社員は、コストカットすることばかり考えている。「あるショーでは、コストカットしすぎて米国本社から『あまりにもみすぼらしくなる』とストップがかかったこともある」(同)ほどだ。耳を傾けるべきユニオン側の改善提案は数多いと思うのだが、「人の話に耳を傾ける」労力(コスト)を最初にカットしてしまったのかもしれない。
(文=松井克明/CFP)

(以上、ビジネス・ジャーナルより転載)

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