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2015年6月25日 (木)

宗教の禁じ手をやった幸福の科学 その6

(前回につづく)

またも前回の記事でも引用しました、大川隆法氏の著書『宗教学から観た「幸福の科学」学入門』にあるこの一文。

幸福の科学は、教えのなかに資本主義的な経済原理を導入し、原始仏教や原始キリスト教のなかで考え方として薄かった「貨幣経済に対する親和性の部分」の“軛”を切り、解き放ち、それでも、「個人としての心の透明性や悟りを求めつつ、この世的にも一定の繁栄を求めるということの可能性」を求めているわけです。
これが、実験的に成功するかどうかは、一定の時間が証明することになるでしょう。

(122ページ)

この一文をまたも少しいじりましょう。

原始仏教や原始キリスト教のなかで考え方として薄かった「貨幣経済に対する親和性の部分」の“軛”を切り、解き放ち、

の箇所ですが、では現在、原始仏教や原始キリスト教が現在世界のどこで信仰・信奉されているのでしょうか?

仏教もキリスト教も、今となってはそれぞれの地で伝承されながらも発展・変化しているのに、なぜ「教えのなかに資本主義的な経済原理を導入し、原始仏教や原始キリスト教のなかで考え方として薄かった「貨幣経済に対する親和性の部分」の“軛”を切り、解き放」つ必要があるのでしょうか?

「原始」仏教や「原始」キリスト教をもち出して、そこに「現在」の経済原理を導入する話をしていることはおかしくありませんか。

まるで、「太平洋戦争のころの日本の庶民は生きる楽しみが少なかったので、私は、太平洋戦争のころの日本にAKB48を導入して、庶民が楽しく生きられることを求めました」みたいな話でしょうか。

(なんでAKB48の例をだしたのかと言えば、以前、大川氏はAKB48の総合プロデューサーの秋元康氏とAKB48のメンバーだった前田敦子さんの「霊言」なるものを出版したからです。AKB48は女の子の東大だと前田敦子さんの守護霊が伝えたという設定でした。
ちなみにこれも以前、このブログで書きました)

大川氏は自分で何を言っているのか理解しているのでしょうか?

そして、大川氏の言う原始仏教や原始キリスト教が貨幣経済との関係が薄かったとするならば、それはなぜか、そこに大川氏は全く考えが及んでいません。

それから、その後のキリスト教では、たとえばカルヴァンはこれまでキリスト教では忌避・卑下された労働を「天職」(ベルーフ)と捉え、労働によって利潤を追求することを正当なものと考えたのです。カルヴァンはキリスト教世界で資本主義経済が肯定される思想を生んだとされる、そのことを大川氏は理解していないようです。

これは前回の記事「宗教の禁じ手をやった幸福の科学 その5」でも書いたことですが、初期の著書(なるべく初版)をご覧ください(初期に出した著書では版を重ねて後の版になると修正されているのです)。

記憶違いや誤植の類ではなく、仏教についての記述に限って言えば、あまりに初歩的な仏教用語の読み方も結構多く間違えたルビをふっています。
また、初歩的な仏教用語の意味も間違えています。
まして、釈尊の名前からして全く間違えています。そのほかの人物名も間違えています。

一例として、佛教の八正道に「正業」があります。

初期の本では、ルビは「しょうぎょう」と付け、意味は「正しい仕事」としていました。
正しくは「しょうごう」、意味は「正しい行為(行い)」です。

これは大川氏個人の間違いかGLA創始者の高橋信次氏の著書にあったのを転用したのかは分かりませんが、「正業」の「業」を「職業(しょくぎょう)=仕事」と捉えたのでしょう。

(もし、高橋信次氏の著書でも同様であれば、大川氏は高橋信次氏の著書の受け売りとなります。)

それを後には「正業」の説明として「正しい行為のことですが、そのなかには仕事も含まれます」と言い訳めいたことを言っています。

一例だけ挙げましたが、まあ大川氏は宗教の知識をきちんと身に付け理解しないままに、思いつきで話したものを自分の名前で(著者として)本を出しています。

そうやって見解の違いではなく、事実を間違え、考えが浅いままに出版したものを、幸福の科学では「経典」と位置づけているのですから、これは宗教としては禁じ手の一つだと思うのですが。

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コメント

原理シリーズにも
「マホメットがコーランを書いた」とか、トンデモ記述があったような。
商社マンとしては、宗教のことをよく知っているレベルと言えますが。
今度は
「宗教家としては、政治や経済のことをよく知っているレベル」で、
国政に参加するつもりでしょうか。

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