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2015年12月 3日 (木)

共産党が提唱する「国民連合政府」の現実味

共産党が提唱する「国民連合政府」の現実味

高いハードルを乗り越えられるか

安積 明子 :ジャーナリスト
日本共産党の志位和夫委員長が指導力を発揮し始めている(写真:Duits.co/アフロ)

安保関連法案に反対する市民運動を通じて指導力を発揮した日本共産党が、国会内においてもその存在感を高めている。

9月28日午後4時。国会議事堂の3階にある委員長室で、共産党と生活の党と山本太郎と仲間たち(以下、生活の党)の会談が始まった。

「国民連合政府」構想

共産党からは志位和夫委員長、山下芳生書記局長、穀田恵二国対委員長、生活からは小沢一郎代表と玉城デニー幹事長兼国対委員長が参加。志位氏が9月19日の第4回共産党中央委員会総会で発表した「国民連合政府」構想について説明するために呼びかけたものだ。

同構想は安保関連法制の廃止と安倍政権打倒、戦争法廃止で一致する政党・団体・個人が共同して国民連合政府を結成、及びそのための国政での選挙協力の3点で構成される。

「もう何回になるかな」「6回目ですね」「ほう、そんなになるか」。会談の冒頭で、志位氏と小沢氏の間の軽い会話が交わされた。

最初の志位・小沢会談は今年6月17日のこと。9月6日に予定された岩手県知事選で、共産党は独自候補を擁立せず、民主党、維新の党、生活の党が支援する現職の達増拓也知事を支援することで合意している。

そして8月19日には、野党5党の党首がそろって盛岡市で記者会見を行った。この時、志位氏は「(安保関連法制は)日本の戦後の歩みを根底から覆す、戦後最悪の法案。安保法案を廃案に追い込む上での共闘だ。今日言えるのはここまでです」と述べて、にっこりとほほ笑んだ。後に「『国民連合政府』構想はお盆の頃に考えた」と言う志位氏だが、すでにこの時、同構想が彼の中で具体化しつつあったのが見てとれる。

さて28日の会談の後の記者会見で、志位氏はこれまでにないほどのすがすがしい表情を見せた。「小沢代表から『共闘は従来の方針の大転換で、高く評価する』と言われた。全面的に合意に至った。大変うれしい結果だ」と誇らしげに述べている。

ただし道のりは容易ではない。同日午後1時から行われた社民党との党首会談では、吉田忠智党首から「大胆な踏み込んだ提案だ。前向きにしっかりと議論を進めていきたい」「様々な困難があるかもしれないが、連立政権の方向性には賛同する」と同意をもらったものの、25日午後3時半からの民主党との党首会談で岡田克也代表は、「共産党と政府をともにするのはハードルが高い」と及び腰だったからだ。

確かに民主党内部では、“共産党アレルギーなるもの”が存在する。9月24日の幹部会で細野豪志政調会長が「『国民連合政府』は到底実現できる中身ではない」と、党首会談自体に反対。また前原誠司元外相も同日の凌雲会の会合で、「逃げる票の方が多い」と批判している。

維新の党との党首会談は実現せず

維新の党については、共産党から呼びかけをしているものの、いまだ党首会談実現の目途もついていない。志位氏は24日に偶然に国会内で会った松野頼久同党代表に、「清水の舞台から飛び降りるつもりで覚悟しました」とアピールし、側にいた穀田氏が「一緒に飛び降りましょう」と誘ったものの、松野氏はただ苦笑いするのみ。ちなみに同日の会見で、松野氏は「共産党は再編の仲間ではない」と断言している。

しかし民主党と維新の党が参加しなければ、『国民連合政府』は実現できない代物だ。一方で民主党や維新の党も、増加傾向にある共産党の票は魅力的な存在であることは間違いない。

共産党は2012年の衆院選で、小選挙区で470万票、比例区で370万票を獲得した。躍進が報じられた2013年の参院選では、選挙区では560万票、比例区では520万票になり、2014年の衆院選では小選挙区で700万票、比例区で600万票にも増えている。こうした傾向を踏まえて野党が共闘した場合、次期参院選で野党が7、8の1人区を獲得するという試算が出ている。

また小林節慶應大学名誉教授などは、9月13日に行われた山形市長選の結果を踏まえて、共産党の働きを評価する。小林名誉教授の教え子であり、民主党、共産党、社民党、生活の党が推薦した梅津庸成氏が、自民党、公明党、次世代の党、新党改革が推薦して当選した佐藤孝弘氏に1773票の僅差まで迫ったからだ。

28日夜に共産党本部から配信された動画で、小林名誉教授は「共産党が一番動いてくれた。彼らは何万枚ものビラを作ってくれたが、その中で共産党をアピールすることはなかった。むしろ、他の党が共産党のアレルギーを取り除くことが必要だ」と述べている。

実際のところ、民主党内でも共産党の票への期待感は存在する。「共産党に協力するのは嫌だが、こちらが候補を立てる選挙区で共産党に協力してもらうのはやぶさかではない」という声もあるのだ。

民主党が政権を獲得した2009年の衆院選で、いつもなら300の小選挙区のほとんどに候補を擁立する共産党が152選挙区しか擁立せず、これが結果的に民主党の躍進の一助になったことも無視できない事実だ。

しかも次期参院選で、民主党の非改選議席数はわずか17議席で、これ以上議席を減らすことはできない状態。このように考えると共闘による選挙はむしろ、民主党に多くのメリットをもたらすものではないのか。

共産党も「変わる努力」

一方で共産党も、“共産党アレルギー”を減らすことに務めている。そのために「国民連合政府」には、閣内閣外の条件を付けないとしている。首班指名にも柔軟な姿勢を見せ、他党の党首の名前を書くこともいとわない。これは共産党がめったに行わない大きな方針転換だ。政党によって差異のあるその他の政策についても、「ひとまず横に置く」としている。

というもの、彼らの究極的な目的は政権の座に座ることではなく、昨年7月1日の閣議決定の撤回だからだ。9月19日の会見で志位氏は、「『閣議決定』が残る限り、『海外で戦争する国』づくりの火種が残り、政府の勝手な解釈変更によって憲法9条を事実上形骸化するという立憲主義に反した異常状態が続くことになる」と述べている。

そんな志位氏を「勝負に出た」と見るむきもある。35歳の若さで党書記局長に抜擢されたのが四半世紀前の1990年。不破哲三氏の後を受けて委員長に就任してからも、はや15年がたっている。志位氏にとっては、このあたりで「歴史を作りたい」と思っているのではないか。すでに野党の軸は、共産党を中心に回り始めている。

(以上、『東洋経済ONLINE』より転載 了)

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