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2016年4月27日 (水)

保育士の給料アップの数字トリック―産経新聞の世論誘導

来年度から保育士の月給6000円アップ 安倍首相が待遇改善表明

 安倍晋三首相は26日の1億総活躍国民会議で、保育士と介護人材の処遇改善を平成29年度から実行すると表明した。5月に閣議決定する中長期施策「ニッポン1億総活躍プラン」に具体策を盛り込む方針だ。

 首相は保育と介護の人材確保に向け「第一に処遇改善、第二に多様な人材の育成、高齢者の活用、第三に生産性向上を通じた労働負担軽減、やりがいを持って安心・快適に働ける環境の整備といった点について、財源を確保しつつ、29年度から実行する」と述べた。

 1億総活躍プランでは、保育士の処遇に関し、消費税増税以外の財源で賄う予定になっている全体で2%相当の賃上げ(月額約6千円)を着実に実施。技能・経験を積んだ保育士には上積みし、女性の全職種平均との賃金差(5万円程度)をなくすようにする。  介護人材の処遇については、キャリアアップの仕組みを構築した介護事業者に税や保険料などを投入し、飲食店など対人サービス業の平均給与との賃金差(1万円程度)をなくす。

 保育士と介護人材の処遇改善にはそれぞれ1千億円、計2千億円程度が新たに必要と見込んでおり、恒久制度とするため29年度以降、当初予算で財源を手当てする。社会保障費の伸びを抑制する財政健全化計画とは別枠とする方向だ。

(以上、2016年4月27日付、産経新聞より転載 了)

この記事で月給6000円アップ と書いていますが、同時に2%相当の賃上げ(月額約6千円)とも書いています。

待ってください。

保育士の平均月収は30万円ほどなのでしょうか?

産経新聞は、「月額6000円アップ」と書いていますが、それは月収が30万円だったらの話。

でも、サイト『年収ラボ』によれば、平成27年の保育士の平均月収は22万円。

ちなみに平均年収は323万円とあります。ボーナスなどは60万円とあります。

ということは、ボーナス等の60万円と月収を合わせて、323万円ということになるのでしょう。

産経新聞さん、『年収ラボ』には保育士の平均月収は22万円とありますよ。

詳しい資料を添付されているのが、ブログ『一橋を出てニートになりました』http://nyaaat.hatenablog.com/entry/nursery-teacher-low-salaryさんの記事(以下に転載)。

厚生労働省の「平成27年賃金構造基本統計調査」を参照する。

職種別平均月収

保育士(公務員以外)の所定内給与は、約21万3,000円である。
(※所定内給与とは、定期給与から残業代などの所定外給与を除いたもの)

全産業の所定内給与は約30万4,000円で、9万近くも安い。
同じく低収入と言われる介護士よりも安いのだ。
ちなみに年収は、単純計算で323万3,400円となる。
(表には、総務省の2014年「地方公務員給与実態調査」から、地方公務員である「小・中学校(幼稚園)教育職」の平均月収も掲載)

上記の地方公務員調査には保育士の項目がないので、練馬区の保育士(公務員)を見てみる。

  • 平均月収:31万1,547円
  • 年間の手当支給額平均:165万2,834円
  • 年収平均:646万3,026円

公務員以外の保育士の、約2倍の年収だ。
練馬区 職員数や給与の状況(2015年度の公表内容)

公務員と公務員以外の保育士との給与格差は歴然である。


(以上、転載了)

月収22万円ですと、2%分として4400円。

どうして6000円のアップと書くのでしょうか。

まさか平均年収を12カ月分で割った金額を平均月収だと言っているのではないでしょうね。

普通、月収ってボーナスまでを入れた年収を12カ月分で均等割りをした金額ですか。

それでも産経新聞が「6000円アップ」ということは、計算すると平均月収を30万円で、それを12カ月分の積をすると、360万円になるのです。

産経新聞の記事から単純計算した360万円と『年収ラボ』にある323万円の平均年収とは37万円も開きがあるのです。割合にして22万円の月収からすると2割弱、産経新聞の記事からしても1割超の水増しをしての計算を産経新聞はしていることになります。

それでも保育士さんの月給が30万円としている根拠と思われるものが、ブログ『一橋を出てニートになりました』さんの上記に転載した記事にありました。

公務員としての保育士さんの月給を産経新聞は使っているのではないかと。

しかし、ブログ『一橋を出てニートになりました』さんも指摘されているように、保育士でも公務員か公務員でないかで給料にかなりの格差が生まれているということです。

となると、非公務員の保育士さんの給料を引き上げる方策も取らなくてはならないのに、産経新聞では保育士さんの平均月給を30万円として、それを前提にして2%にあたる6000円の加算があるという記事にしているのです。

ということで、6000円アップというのは、公務員の保育士さんの平均の話という限定で、実際は「2%」としか言いようがありません。

産経新聞が安倍自民党の片棒担ぎをしているのは周知のことですが、こんな実態と違う例を挙げて、また、平均月収30万円の根拠も出さずに、あたかも保育士さんがみなさん、平均月収30万円であるから月額6000円の給料が上がるかのように惑わせるように書いているのです。

それとも、6000円のアップは一律ですか?

そうでないでしょ。産経新聞は「6000円」の前に「2%」とも書いていますよね。「2%」と書くと実際には少ないのが明らかなので、「6000円」の金額だけが躍るようにして大きく見せようとしても、その数字の根拠に妥当性があるのかが問題です。

それにしても、これって安倍首相は保育士の給料をきちんと引き上げて、保育士の労働環境の改善や少子化対策に取り組んでいるかのようにと思わせる世論誘導ではないですか。

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