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2016年5月24日 (火)

舛添知事の記者会見のウラに隠された「逃げ切りのシナリオ」

舛添知事の記者会見のウラに隠された「逃げ切りのシナリオ」

SPA! ) 2016年5月23日(月)配信

◆事実上の「答弁拒否」

<文/教育評論家・野田数 連載第4回>

 政治資金疑惑に揺れる東京都の舛添要一知事の定例会見が、5月20日行われた。この注目の会見をテレビで観た多くの人たちは、激しい憤りを覚えただろう。

 東京都知事の定例会見は毎週金曜日の14時から行われるが、今回は異例の報道体制で、NHKや民放各社が生中継を行った。しかしながら、このように多くの都民、国民が注目しているにもかかわらず、舛添知事は疑惑を一切解明せず、記者に対して事実上の「答弁拒否」を貫いたのである。

 舛添知事の発言は以下の2点である。

①自分の政治資金疑惑については、政治資金規正法に詳しい複数の弁護士に調査を依頼し、調査結果を出したい。

②自分は都知事を辞職する気がない。

 記者があらゆる角度から疑惑を追及したにもかかわらず、舛添知事はすべての質問に対して、上記の2点を繰り返し発言しただけだった。

◆「弁護士に調査を依頼」のカラクリ

 そもそも、弁護士の人選を舛添知事が行い、弁護士費用も舛添知事が支払うわけだから、舛添知事に不利になるような調査結果が出されるわけがない。もっとも、意図的にクライアントを不利な立場に追い込む弁護士がいるとすれば、その弁護士たちは仕事を失うだろう。

 つまり、舛添知事は自分の疑惑を厳しく調査し公表するのではなく、自分がこの事態を乗り切るために弁護士に相談しているだけなのだ。
20日の記者会見で舛添知事は、これまでの饒舌な自己弁明は影をひそめ、前述の2点しか語らなかった。自分がうかつな事を話すとボロが出るので、事実上の「答弁拒否」を行った。

◆都議会の「不信任議決」だけは避けたい

 このタイミングで舛添知事がこれまでの饒舌な自己弁明を封印し、事実上の「答弁拒否」に豹変したのは、都議会をにらんでのことだ。

 私はこれまで、都議会議員の不作為が舛添知事の疑惑を放置し、舛添知事を延命させてきたことを明らかにしてきた。その後、メディアやネットで都議会議員が批判されるようになり、尻に火が付いたのか、議員たちは舛添知事を追及するようになった。ついには国会議員の与党幹部までも舛添知事を非難するようになった。

 今の舛添知事にとって一番怖いのは、都議会の「不信任議決」である。都議会で疑惑が追及され、「不信任議決」によって辞職に追い込まれる事態を避けるために、舛添知事は全力を尽くしている。

◆舛添知事、逃げ切りのシナリオ

 では、舛添知事はどのような逃げ切りを企んでいるのだろうか。

 具体的には、舛添知事が過去や現在に代表を務めた政治団体や政党支部の「政治資金収支報告書」や政党交付金の「使途等報告書」を訂正し、違法な支出については返金することでこの問題を収束させようとしている。

 読者のみなさんは、こんな子供だましで逃げ切れるのかと思われるだろうが、これは政治家の常套手段なのだ。
違法な政治献金や政治資金の不適切な支出が明らかになった時、秘書や会計責任者に責任をなすりつけ、それらを返金した後にこれら報告書を訂正する。

 政治家たちは常に政治資金問題をこのような手法で乗り切ってきた。だからこそ、「同じ穴のムジナ」である都議会議員たちは追及しづらいだろう。

 また、舛添知事は弁護士に調査を依頼したことを逆手に、都議会に対して時間稼ぎを行うだろう。現状だと、どのような議会質問に対しても「現在弁護士に調査を依頼中であるため、答弁は差し控えたい」との一点張りで答弁拒否を行うだろう。

 舛添知事が6月1日から開催される都議会第2定例会を乗り切れば、次の第3定例会までの2、3か月程度の時間が稼げるのだ。その間に、この問題が沈静化するのを狙っているのだろう。

 この記者会見で明らかになったのは、舛添知事が都民、国民に対して説明責任を果たすよりも、自己保身のために、弁護士を雇ってまで議会対策を優先させたことである。舛添氏の往生際の悪さが明らかになったことで、ただでさえ低い支持率がさらに下落するだろう。

 舛添氏の一連の疑惑はメディアが明らかにしており、これまで都議会は行政(知事)のチェック機能としての役割を果たしてこなかった。したがって6月1日からの第2定例会で都議会が舛添氏を追及することができず、疑惑を解明することもできなければ、多くの都民、国民の怒りは都議会にも向かうだろう。
舛添氏の悪意と都議会の不作為によって、首都東京の二元代表制が機能不全に陥っている。

【野田数(のだかずさ)】

教育評論家。東京都出身。早稲田大学教育学部卒業後、東京書籍に入社するが、歴史教科書のあり方に疑問を持ち、政治の道へ。東京都議会議員時代に石原慎太郎氏、猪瀬直樹氏と連携し、朝鮮学校補助金削減、反日的な都立高校歴史必修教材の是正を実現し、尖閣購入問題などで活躍。その後、多様な経験を活かし、ビジネス誌や論壇誌で本質を突いた社会批評を展開している。
(以上、転載 了)

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