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2016年5月31日 (火)

なぜ都庁記者クラブの記者たちは「舛添都知事」の悪事に気づかなかったのか その1

裏表の激しさと往生際の悪さ、答弁の傲慢さ

「横領したような連中は、きちんと牢屋に入ってもらいます」「いまからでも刑事告発してやろうかと思って」「泥棒でしょう? これは盗人なわけですよ!」「泥棒した奴がヌケヌケと役場で仕事をしていて、いいんですか!」

東京都政が、「カネ」の問題でまた滞っている。

2015(平成27)年度GDP92兆9000億円。年間予算はインドネシア国家予算並みの13兆円。職員数は自衛隊を除く各省庁や道府県よりも多い16万人余――そんな巨大な権力と金を握る舛添要一東京都知事が、参議院議員から都知事に至る過程で費消したあまたの金とその会計処理が「政治資金規正法違反」の疑惑にまみれ、定例記者会見もその質疑応答に終始しているからだ。

猪瀬直樹前都知事の場合とは異なり、今回の舛添知事に対する嫌疑は「公金“横領”疑惑」である。これに先立つ「海外“豪遊”視察」批判に対しては、「ホテルも高額スイートルームに泊まらなければ恥ずかしい」とあられもない理由で本性を晒してしまったため、都知事選で舛添氏に票を投じた有権者の多くは今回の使い込み疑惑にも、「陰でこんなにセコいことをしていると暴露されるほうが、都民として恥ずかしい」と嘆いている。

冒頭の怒気を帯びたコメントは、その舛添氏に対する都民からの批判、ではない。かつて2007年、社会保険庁職員の年金横領が発覚した際に、当時は厚生労働大臣だった舛添氏が、会見で吐き捨てるように述べたセリフだ。ちょうど1年前に新国立競技場の建設費に関して東京都負担の有無を問われた際にも、舛添知事は「1円でも都民の税金を無駄に使っちゃいけない。それが私の仕事」とテレビで胸を張って宣言した。その姿は多くの有権者の記憶に残っている。有権者の苛立ちは、舛添氏のそうした落差にも起因しているようだ。80年代半ばから舛添氏を知る雑誌編集者は、「裏表の激しさと往生際の悪さ、答弁の傲慢さは際立っていました。責任転嫁能力はダントツなのでは(笑)」と実に手厳しい。

政治資金で家族旅行費を支払っていた等々、『週刊文春』のスクープ報道を端緒に、次々と金銭スキャンダルがメディアで露呈し始めた舛添知事は、5月16日と同20日、そして27日の3回にわたって釈明会見を開いたが、長時間にわたって「第三者の厳しい目で」等々、どの質問にもらちが明かない答弁を繰り返すばかりで、記者も都民も全国の視聴者も、誰もが納得し難い中身なき釈明会見に終わった。

実は2回目の会見の前日(19日)、政治家とカネを追及する弁護士、公認会計士、税理士、学者、ジャーナリストなどで組織された市民団体「政治資金オンブズマン」が東京地方検察庁に告発状を送り、政治資金規正法違反などの疑いで舛添知事を刑事告発している。

舛添おろしの可能性は「百条委員会」と「不信任決議」

これは、舛添知事が2回目の会見で繰り返した「第三者で専門家」集団からの、いわば“クロ認定”である。結果は法廷の審理に委ねざるを得ないわけだが、そもそも、妻が代表を務める「株式会社舛添政治経済研究所」に複数の団体を経由してカネを還流させるという、限りなく違法に近い手口もすでに明らかとなっている。

意図的にリレーされたカネは、いうまでもなく「税金」だ。税金を迂回還流させる目的でいくつものトンネル団体を配置したことは明らかであり、違法操作の疑惑は拭いがたい。その「公金“横領”疑惑」は現在進行形でさらに際限なく露呈しつつあるため、舛添氏の政治生命は、今や「風前の灯」だ。いずれはケジメがつけられるに違いない。

実際、3回目の会見で舛添知事は、迂闊にも次のような答弁を洩らし、「クロ認定」を自ら招き寄せている。

「疑惑は沢山出ている。だから100個出たら100個全部クロである、というふうなことではない。これは全く誤解だというのは、ある」

(つづく)

(上記の記事は、プレジデントオンラインの藤野光太郎氏の記事より転載。長文なので次回に分割して転載)

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