清濁併せ呑むのが政治家とは言え、あまりにセコい。カネを守るために不正を働き、謝ることもできない。政策や実績はもはやどうでもいい。都民はもう、あなたに都知事をやってほしくないんです。

■返せばいいってもんじゃない

俺はこの苦境を乗り切った--。

いま、舛添要一東京都知事はごく近しい周囲の人間にだけ、こううそぶいているという。

都庁幹部が明かす。

「ファーストクラスに乗り、スイートルームに連泊して5000万円以上を計上した外遊。週末のたびに湯河原の別荘へ公用車利用。千葉県・木更津の温泉旅館へ家族で宿泊しながら、政務活動費として報告。そして、政治資金計1600万円を『家賃』として自宅に支払い……。

これらの大問題を起こしながら、舛添さんはもう禊(みそぎ)は済んだと思っています。

本人によると、その根拠は『違法性がないから』だそうです。家族旅行の経費37万円は返却したし、会見で説明もした。法に触れているわけではないんだから、もう終わりでいいだろう、というわけです。

相談に行った自民党東京都連から、『自民党としては6月1日から始まる都議会で、これ以上問題追及はしない』という口約をもらったことも、大きかったみたいですね。自民党としては、ダブル選挙がありそうで、来年には都議選を控えたいま、都知事選をやる余裕はないですから。舛添さんを引きずり下ろすのは得策ではないと考えたんです。

舛添さんに反省はない。唯一、会見以降に変わったことといえば、クーポンを使ってマクドナルドに行かなくなったくらいでしょうか。近しい記者や職員を昼食に伴った時は、定食屋に連れて行き、舛添さんが支払いを持つようになった」

都民の血税を使って贅沢三昧を繰り広げておきながら、いまだ地位にしがみつき、権力から離れようとしない舛添氏。確かにこれまでに発覚した問題はすべて、違法ではない。しかし言わずもがな、東京都知事という立場にある人間として、ふさわしい行いかといえば、議論の余地はない。

衆議院議員の江田憲司氏が言う。

「露呈した疑惑一つひとつがどうこうという問題ではなく、舛添要一という政治家の資質が問われていることに、本人は気づいていないんでしょう。有権者の疑惑の目は、人間としてどうなのか、というところにまで向けられている。信頼はもはや完全に失われているわけですから、早急に自ら身を処するべきです。

もともと永田町では、舛添氏の政治資金の使い方について疑問視する声が出ていました。国会議員時代から、彼の『倹約』は有名でしたからね。

だから今回、問題が露呈した後も『やっぱり』と思った議員は多い。今後、同様の問題が浮上する可能性も高い。そうなれば、完全に都政は停滞してしまいます。そうなる前に、早く辞めたほうがいい。いくら言い訳を繰り返しても、もう信頼は戻ることはないんですから」

■息をするように公私混同

政治家以前に、人として恥ずかしい--。「家族旅行」に関する釈明会見でも、その人間性は表れていた。

東京都議会議員の柳ヶ瀬裕文氏が語る。

「私はすでに、『舛添都知事の辞職を求める書面』を知事室へ提出しました。会見では、『家族で宿泊したがそこで会議をしたから政務活動費である』と言い訳をしていましたが、ふざけるなという話です。正式な政務活動であっても、家族を同行させたことで批判を浴び、辞職した地方議会議員は少なくない。それを考えれば、舛添さんがやったことは明らかに『公私混同』であり、許されるものではありません。

たとえば、家族分の代金は自腹で払う方法もあるわけです。それすらしていないんですから、舛添さんはどう見ても確信犯でしょう」

都民だけでなく、全国民が呆れ返った謝罪会見だったが、実は舛添知事は、直前に知人らに相談していたという。

「『会見で何を喋ればいいか』と、何人かと共に相談を受けました。みんながアドバイスしたのは、『下手な言い訳をするのではなく、土下座して謝るしかない』ということ。しかしプライドが高く、自分の能力を過信している舛添さんは、それを受け入れなかった。

その結果、あんな高圧的な会見になってしまったんです。『宿泊先で誰と会っていたかは、政治的機微に関わることだから話せない』というのは、本人はうまく言い逃れているつもりでも、聞いたほうが納得するわけがない。そういった世間の空気がまったく読めない人間なんです」(相談を受けた知人)

カネにセコく、大事なのは自分だけ。人の気持ちがわからないから体裁を繕おうとして、反感を買う。そんな舛添氏の人間性は、昔から変わっていない。

「舛添さんが厚生労働大臣だったとき、私は何度も法案に関するレクチャーを行いました。しかし舛添さんが、まともに私の話を聞いたことはありません。資料にさーっと目を通したかと思うと、私のレクを遮り、『で、私は何をしゃべればいいの?』と冷ややかに言うのがお決まりでしたね。

待機児童や生活保護受給者に関するレクをしているときも、舛添さんから『困っている人をどうすればいいか』といった意見が出たことはありません。

とにかく『私は何を話せばいいのか』ということばかり。役割を察知する能力は高かったですが、本当に自分のことしか考えていない人でした」(厚労省職員)

■そんなにカネが好きなのか

舛添知事は'09年の政権交代で野党となった自民党を見限り、'10年に新党改革を旗揚げした。実はその際にも、不透明なカネの流れはあった。

新党改革元幹部議員が証言する。

「舛添さんは党の承認を得ず、勝手にみずほ銀行六本木支店から2億5000万円の借り入れをした。新党となれば何かと入り用ですから、借りたこと自体はまだ許せる。だが問題はその後で、彼は政党交付金をこの借金の返済に充てたんです。

新党改革がもらった政党交付金を一旦自分の政治団体に『寄付金』として計上してから、借金を返済するという方法です。違法ではないが、不当な資金の流れ。国民の税金である政党交付金を借入金の返済に充てていることがバレないように、自分の政治団体を使ってカネを還流させたわけです」

新党改革における不透明な会計報告は、それだけではないという。

「'10年の参議院議員選挙後、新党改革で開かれた役員会は1度だけ。霞が関ビルの喫茶店で反省会をやったくらいで、その後は一切会議なんてやっていません。しかしその年の収支報告書には、『ホテルや飲食店で会議を開いた』という記載が何度かあるんです。私はこれらが判明したとき、複数回にわたって舛添さんに会計報告の説明を求めましたが、一切応じてもらえませんでした」

舛添氏のセコさは、公用車で通い詰めていたことが明らかになった、神奈川県・湯河原の別荘にも表れている。

'99年、舛添氏は敷地面積950m2・約300坪のこの大邸宅を妻・雅美さんが代表を務める「株式会社舛添政治経済研究所」名義で購入した。自宅を法人名義で購入することで、耐用年数に応じて減価償却をすることができる上、固定資産税や管理費も法人の経費と計上でき、節税になるからだ。

また、会社名義で購入することで、国会議員に義務づけられていた資産報告書への記載を免れることもできた。

本誌は今回、別荘内部の写真を独占入手した。

数寄屋建築とモダンな洋館の連棟からなる家屋。檜造りの門を抜けると床面積185・91m2の1階部分に、広々とした和室があり、洋館部分には本格的な暖炉まである。2階部分の床面積は92・82m2。石造りの風呂はもちろん温泉付きだ。

評論家の佐高信氏はこう断じる。

「この程度の男が、都知事になってしまったということです。舛添本人の責任はもちろん、推薦した与党にも責任はある。選挙するのが嫌だから降ろせないという永田町の理屈では、誰も納得しないでしょう。いますぐ責任を取らせるべきです」

次の問題が起きてからでは遅い。いまこの瞬間も、舛添知事は都民の税金を握り続けている。

「週刊現代」2016年6月4日号より

(以上、現代ビジネスより転載 了)