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2017年3月17日 (金)

衰退する日本の新宗教

衰退する日本の新宗教 --- 島田 裕巳

2015年02月16日 11:37

去年(2014年)の夏、たまたま私は8月1日に大阪に行く用事があった。8月1日と言えば、日本の新宗教の代表であるPL教団(正式にはパーフェクト・リバティー教団)が行う花火大会の日に当たっていた。そこで、家族も伴い、これを見に行くことにした。30年近く前に一度行ったことがあり、あまりのすごさに圧倒されたことがあったからである。

ただ、これは、花火大会ではなく、教団にとっては重要な神事である。初代教祖の御木徳一は、晩年自分が「死んだら嘆いたりせずに花火を打ち上げて祝ってくれ」と言っていた。その教祖のことばにしたがって行われているわけで、正式な名称は「教祖祭PL花火芸術」という。

私自身も楽しみにしてPL教団の本部のある富田林市に向かった。会場には多くの人間がつめかけていた。そして、神事が行われた後、花火が打ち上げられた。

最初は、さすがPLの花火は違うと思って見ていたのだが、次第に前に見たときと比べて、派手ではなくなっている気がしてきた。「いったいこれはどうしたことだろうか」と思っていると、ラストに一斉に花火が打ち上がるところがほんの短い時間で終わってしまった。これには、正直驚いた。

前に見たときは、これでもかという具合に花火が上がり続け、空が燃えるているように見えた。ところが、今回はまったくそうではなかった。家族はそれなりに満足していたが、昔を知る人間からすると、いったいあの花火はどうなってしまったのかと落胆の思いがわき上がってきた。

他の観客のなかにも、同じような感想を同伴した人間に語っている人もいた。翌日の新聞を見ると、記事になっていて、14万発の花火が上がったとされていた。これを見て、私は落胆の原因をはっきりと理解した。なにしろ以前は、20万発の花火が上がっていたからである。
これに接して、私はPL教団が相当に衰退しているのではないかと感じた。実際、その後には、高校野球の名門だったPL学園の野球部が、部内でのいじめや監督の不在を理由に、来年度は部員を募集しないという発表があった。週刊誌などの報道では、その背後に教団の衰退があるとされていた。

宗教団体の内情は、どこもなかなか分からないものである。信者の数にしても正確な数字は出ない。ただ、各教団は、規模が大きなところは、毎年宗教法人を所轄する文化庁に信者数を申告しており、その数は、『宗教年鑑』に掲載される。これは、いわば公称の数字ということになるが、これしか頼りにならないので、これを使ってPL教団の信者数の変化を見てみることにした。

私の手許には、平成2年版の『宗教年鑑』があったので、それを文化庁のHPに載っている平成24年版の数字と比較してみた。1990年から2012年までの22年間に、どういった変化が見られるかを確かめてみたのである。

それによると、平成2年版で、PL教団の信者数は181万2384人となっていた。これはかなりの数である。ところが、平成24年版では、それが94万2967人となっている。この22年間で、信者数は86万9417人も減少したことになる。ほぼ半減である。

PL教団がこうした数字を発表しているということは、実際にはかなりの規模で、もっと言えば驚異的な規模で信者数の減少が起こっていることになる。近年、PL教団では、支部の教会の整理統合を相当に進めている。それも一つの教会に所属する人間の数が減り、維持運営が難しくなったからであろう。

花火についても、経費削減が行われたのだろうし、PL学園がごたごたしているのも、教団の力が衰えているからに違いない。ネット上の情報なのではっきりしないが、教団の機関誌の購読者は7万人程度しかいないとも言われる。

では、ほかの新宗教ではどうなのだろう。私が、『日本の10大新宗教』(幻冬舎新書)で取り上げた教団を中心に見ていくと、衰退はPL教団だけではないことが明らかになってきた。

ただし、『宗教年鑑』の平成24年版では、単立法人と言って、その下に教会などをもっていない包括法人でないところについては、信者数が載っていない。したがって、すべての教団について数字をあげることができないが、分かる範囲で述べれば次のようになる。最初にあげる数字が平成2年版のもので、後が平成24年版のものである。

天理教180万7333⇒119万9652
大本17万2461⇒16万9525
生長の家82万1988⇒61万8629
天照皇大神宮教45万4442⇒47万9707
立正佼成会633万6709⇒323万2411
霊友会316万5616⇒141万2975
世界救世教83万5756⇒83万5756
真如苑67万2517⇒90万2254

日本最大の新宗教教団、創価学会が含まれていないのは、ここが単立の宗教法人だからで、平成2年版でも数はまったく発表されていなかった。ただ、創価学会は独自に信者数を発表していて、現在では827万世帯である。世帯数で発表するところに特徴があるが、この数は近年変化していない。

今あげた数字を見てみると、信者数を減らしている教団が少なくないことが分かる。しかも、100万人以上の信者数を誇っていた大教団であるほど減少は著しい。霊友会など、175万人も減少し、55パーセントも減っているのである。

天理教も60万人、立正佼成会も310万人近く減少している。そうした教団に比べると目立たないが、生長の家でも、20万人以上減っている。世界救世教の数字が変わらないのは、それが実情を示していない証である。

増えているのは、微増の天照皇大神宮教を除くと、真如苑だけである。真如苑の公表する信者数は、『日本の10大新宗教』でその理由を述べたが、かなり正確なもので、実数と考えていい。その点からしても、新宗教のなかで、真如苑だけが伸びていると言える。

真如苑の場合は、接心という簡易なカウンセリングに近いものが中心で、組織としての活動はそれほど活発ではない。その点で、他の新宗教の教団と同列に扱っていいのか、そこには問題がある。

おそらく各教団が報告している信者数は、これでもかなり水増しされている可能性がある。となると、それぞれの新宗教教団は、衰退が著しいと見ないわけにはいかない。それぞれ信者の高齢化が進んでいるとも言われるが、これは、世界的な傾向でもある。イギリスでは、国内の新宗教について高齢化が進み、教団の活動が停滞していることを指摘する論文も発表されている。

日本の新宗教がその勢力を拡大したのは高度経済成長の時代で、都市に流入してきた地方の人間たちを吸収することで大教団への道を歩んだ。

すでに高度経済成長は過去のものとなり、日本は低成長、あるいは安定成長の時代に入って久しい。となると、新宗教に入信してくる人間はいなくなる。

創価学会は、他の教団に比べると世代交代に成功した方だが、それでも外の人間が折伏されて新しく会員になることはほとんどなくなった。新入会員は、会員の家に生まれた赤ん坊だけだったりするのである。

島田 裕巳
宗教学者、作家、東京女子大学非常勤講師、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」会長。元日本女子大学教授。

(以上、アゴラより記事を転載。ただし公称信者数の推移について原文では数字に区切りを付けていないので私のほうで矢印を付けました)

確かに新宗教を観てきて多くの新宗教が信者数が衰退していると感じます。

これは教団側にしたらかなりの深刻な問題です。

信者は教団の維持には経済的な理由からも不可欠な存在ですから。

信者が減少すれば、上記の記事でも触れられていましたが、たとえば教会の統廃合を進めて、維持できるだけの規模に縮小せざるを得ません。

そこで、布教はとても大切になりますし、家族内での信仰の継承も大切になるのです。

以前からラジオ番組として宗教の時間を持っていた教団はいくつもあります。今も放送しているかわかりませんが、私の知る限り、新宗教では、天理教、念法真教、生長の家、円応教があります。一方、メディアを大々的に活用した方法で布教を熱心にしたのが、以前ですと、阿含宗であったり、現在ですと幸福の科学であったりします。

費用は相当かかるもののメディアを大いに活用しての布教です。

阿含宗は毎年2月11日に京都山科で行われる星まつりをテレビ番組として放送していました。また、雑誌『アーガマ』の発行をしたりもしていました。

幸福の科学では、毎年、映画を作り、出版も積極的です。最近では芸能活動による布教もやろうとしています。

次に、上記の記事で信者数の推移を挙げた教団で、宗教年鑑の信者数を挙げた平成3年版と平成24年版との間に内紛や分裂が起きた例として、大本、生長の家、霊友会、世界救世教が挙げられます。

ということは、教団の分裂が起きて、分派した教団に移った信者もいますから、信者数が減った理由はそこもあるのです。

ただ私のブログでも取り上げたことがありますが、そもそも上記に転載した記事にある「公称信者数」は文化庁が毎年発行する宗教年鑑に掲載されたもので、それは各教団からの申告ですから、信者数の数え方も各教団に任されていますし、誰が信者かどうかという確認はないですから、いわゆる水増しはいくらでもできるのです。

たいがいは教団の側は信者を対外的にも多く見せようとしますから、多めの信者数にするのです。その多めがかなりの場合もあります。

ですから、公称信者数をみているだけでは実態がわかりません。

ただ、信者数を多めに見せようとしても前年よりも減少した数で申告していることは、信者数の実数は分からなくても、少なくても信者数は減少しているということだけはいえるでしょう。

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